僕が愛した歌姫
今の俺には握られた手をギュッと強く握り返す事くらいしか、できない。


「いつか……」


「え?」


「いつかリナがそこから出れたら」


君を、一番最初に抱きしめても、いいかな――?


リナは小さく頷いて、俺の肩に頭を預けるように、フェンスにもたれかかった――。
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