僕が愛した歌姫
なんとか眠ろうと努力してみたものの、全くダメ。
俺は上半身を起こして頭をガシガシとかいた。
同じ部屋の中からはすでにイビキが聞こえ始めている。
さすが、早寝早起きのじいさん達だな。
その寝つきの良さを少しだけ羨ましく感じながら、俺はベッドの隣にある松葉杖を手に取った。
本当は車椅子も用意してくれてるんだけど、なかなか慣れなくて使い物にならないのだ。
「よっと」
松葉杖を使って器用に立ち上がり、そっとカーテンを開ける。
薄暗い、灰色の病室が広がる。
オバケが出るにはまだまだ早い時間だけど、こうして見ると充分に雰囲気が出ている。
俺はいたずらを思いついた子供のようにニヤリと笑う。
この病院は新しい病棟と古い病棟がつぎはぎで建てられている、パッチワークのようなところ。
俺が入院している外科病棟は新しく出来たところだから小奇麗だけど、ちょっと場所をうつせば更に雰囲気が出る事間違いなし。
そんなほんの少しの好奇心で、俺は病室を出たのだった――。
俺は上半身を起こして頭をガシガシとかいた。
同じ部屋の中からはすでにイビキが聞こえ始めている。
さすが、早寝早起きのじいさん達だな。
その寝つきの良さを少しだけ羨ましく感じながら、俺はベッドの隣にある松葉杖を手に取った。
本当は車椅子も用意してくれてるんだけど、なかなか慣れなくて使い物にならないのだ。
「よっと」
松葉杖を使って器用に立ち上がり、そっとカーテンを開ける。
薄暗い、灰色の病室が広がる。
オバケが出るにはまだまだ早い時間だけど、こうして見ると充分に雰囲気が出ている。
俺はいたずらを思いついた子供のようにニヤリと笑う。
この病院は新しい病棟と古い病棟がつぎはぎで建てられている、パッチワークのようなところ。
俺が入院している外科病棟は新しく出来たところだから小奇麗だけど、ちょっと場所をうつせば更に雰囲気が出る事間違いなし。
そんなほんの少しの好奇心で、俺は病室を出たのだった――。