僕が愛した歌姫
その男――霧夜さんはそう言って、おおイビキをかいているヒロとテーブルの上に散らかった酒の缶を見る。


「はい……」


俺はなんと答えていいものかもわからずに、まるで子ねずみのようになって頷いた。


「ちょっと話しがある」


屋上の時よりもはるかにドスを聞かせた声でそう言われて、俺たちはアパートを出たのだった。
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