精霊王の娘
「「「リリエナの笑顔を守るべし!」」」

「にー!」

「「「リリエナの幸せを守るべし!」」」

「さーん!」

「「「リリエナにひどいことをする奴には、怒りの鉄槌を浴びせるべし!」」」

「よーん!」

「「「報復は徹底的に!」」」

「これよりー! 作戦会議をはじめりゅのですー!」

「「「おー!」」」

「だから静かにしろって言ってるでしょ!」

ピュアに怒られて、大声で隊の心得を叫んでいた隊員たちがシュンとなった。

「リリエナは夢の中だ」

「起こしたらかわいそうなのである」

周囲からもピュアに賛同する声が上がり、エンリーはむぅっと黙り込んだ。せっかくカッコよく決まったのに台無しだ。

だが、彼らの言う通り、大好きなリリエナの睡眠を妨げてはいけない。なぜなら今のリリエナは六歳の子供の姿をしているのだ。中身はともかく、外見が子供なのだから、充分な睡眠をとる必要があるのである。寝る子は育つというやつらしい。人間が言っているのを聞いたことがある。

エンリーは前足を口元に持って行くと、声を落として言いなおした。

「作戦会議をー、はじめりゅのですー」

「「「おー」」」

エンリーの小声に、ほかの隊員たちも小声で答える。

「人間たちはぁ、リリエナにぃ、ひどいことをしましたぁ!」

「「「おー!」」」

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