今夜もあなたと月、見ます。



黒い帷がかかったような夜の街



厨二病を拗らせた

なんて言葉では片付け難い生々しさ


血で血を洗うような泥沼の戦い


終止符を打ったのが彼だったのが

偶然なのか

はたまた必然なのか


どちらでもいいけれど



何しろその夜は


薄暑だというのに肌寒くて


背筋に虫が這うような、嫌な空気だったのです



その男は気の抜けた欠伸をしたあと

唸り蹲る人間を汚物のように跨ぎ


満月と半月の間のような、微妙な大きさの月を背に


ふらりとどこかへ消えていったのです



まるで誰かを求めるかのように









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