今夜もあなたと月、見ます。


そして放課後


今日は時間が過ぎるのがとても早かった気がする

ずっと考え事をしていたせいだろうか

まあなんでもいいけど

いざ、間宮晴、参らんっ!


みんな帰って人気のない静かな教室の扉を開けた

中にいる一人の人物を見据えて、距離を詰める


「横井くん」

「やあ」

やっぱり影のある笑顔はちょっと気味が悪い

「聞いてもいい?」

「遠慮ないねー」

「よく言われる」

「いいよ」

いいんだ


じゃあ最初からないけど、遠慮なく

「風組なの?」

「…うん」



「意外?」

ふっと軽く笑う横井くん

「意外どころの話じゃないよ」

猫につけられた傷ってのもおそらく喧嘩でついたものなんだろうな

「だよね。俺でも思うもん」

「…どうして、そこにいるの?」

これに対して、どんな返答が来るのか

何一つ予想ができない


「…特に意味はないよ」

…え?

「全ての物事に理屈の通った理由があるわけじゃないよ。成り行きでーとかいつのまにかーとか案外パッとしないまま完成する因果関係だってある」

…それはつまり

「目的や、理由があるわけじゃないってこと?」

「そういうこと」

「ただ、風組にいるってだけ?」

「うん」


へぇそう
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