今夜もあなたと月、見ます。
「私がそんないい加減な言い訳を信じるとでも?」
「あはは、やっぱそう簡単にはいかない?」
当たり前でしょう
舐められては困る
「でも残念だけど、割と真面目にこんな感じだよ。成り行きとまでは言わないけど…まあ、いつのまにかって方には当てはまるかも知れない」
…いつのまにか
「ただ確実に言えるのは、俺の意思でいるわけではないってこと」
少し声を重くして、そうつぶやいた
「居たくて居るわけじゃない。それは信じて欲しい」
…
真っ直ぐに私を見る綺麗な目
居たくて、居るわけじゃない…か
「…信じてなんて言ったところで、あんまり意味はないと思うけど」
乾いたように笑った
…うん
はいわかりましたと言えるほど
その言葉を全て鵜呑みにできるほど
私は単純ではない
けれど
「信じるよ」
「…え?」
「横井くんの言葉は、信じたいと思ってるよ」
たとえ風組だろうがなんだろうが
みんなから信頼されていて、私だって頼ってしまうような、この横井くんの存在が消えるわけではない
少なくとも、一緒に学級委員をやってくれている、クラスメイトの横井くんのことは心から信頼しているつもりだ