今夜もあなたと月、見ます。
「横井くんにどんな事情があるかは知らないけど、今回のことだって別に裏切られたわけでもないし『風組』だからって変な目を向けることはしない」
ただ、気になっただけだ
「…間宮は、暴走族にいる俺を軽蔑しないの?」
「しないよ。他人の生き方にいちいち干渉できるほど私は優しい人間じゃないから」
「…そうか」
それに
「暴走族だろうが、なんだろうが、横井くんは横井くんだから」
私の知ってる、頼れる学級委員の相方
「間宮…」
「だからしつこく追求するつもりはないの。ただ知りたかっただけ。横井くんや響紀さんのいる世界を」
私の知らない、世界のことを
「…響紀って…もしかして道枝の下の名前?」
え?
「そうだけど…あれ?知らないの?」
てっきり風組だから知ってると思ってた
「道枝の下の名前なんてそう簡単に知れるもんじゃないよ。"道組総長道枝"で通ってるから。風組の中でも多分知ってるのは総長だけ」
そうなんだ
…?
あれ?待って、何か違和感が…
「なぁ間宮、俺も聞いていい?」
え、あ、何?
「間宮と道枝響紀はどういう関係なの?」
か、関係?
え、関係ですか?
どういうって、ただたまたまコンビニで会って、月見て、会うたびに一つ質問する関係
…なんて言えばいいんだ?
えっと…
「と、友達…ですかね」
普通、友達に鍵って渡す?
いや、響紀さんに普通は通用しない
うん。もういいや、友達ってことにしておこう