今夜もあなたと月、見ます。



怖い

怖い


捕まったらどうなるんだろう

何されるんだろう

家に帰れないかもしれない


怪我するかもしれない

もっとひどいことをされるかもしれない


苦しい、怖い、助けてほしい


いろんな感情がごちゃごちゃになりながらひたすらその細い道を進んでいく



しばらく行くと、路地の向こう側にひらけた場所を見つけた

ゴミ捨て場か何かだろうか

古びて折れた看板や雑草が無造作に散らばっている


そこへ細い道に足を取られながらも、体を投げるようにして転がり込んだ



「うっ!」

地面に体をぶつける

「うお、びびった」

へ?


私の呻き声と同時に誰かのそんな声が聞こえた

地面に寝転がったまま、恐る恐る顔を上げる


「…あ」

「あ、店員さん」

…カフェオレの、人


丸い目で私を見るのは甘いカフェオレを買っていった高身長のあの男の人だった

瀧本さんの言う、道枝という人だ



細い路地を抜けた場所は2畳半ほどの狭い空間になっていた

特に何かあるわけでもないただの空き地

ただ、周りを古びた建物や堤防に囲まれていて
入り口は私の通ってきたこの細い路地しかない


小学生が見つけたら喜んで秘密基地にしそうな場所

そこで、まさかのカフェオレの人と再会をした

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