今夜もあなたと月、見ます。
「派手な登場だね。なにしてんの?」
「あ……いや…その」
バイクに追われてました?
なんて言えばいいんだ?こういう時
「とりあえず立ったら?汚れるよ、もう遅いかもだけど」
カフェオレの人が私に手を伸ばす
「あ、ありがとうございます」
その手に捕まった瞬間
ぐんっとすごい力で引っ張られて、浮いたんじゃないかなってくらいの勢いでふわりと立てた
「あちゃーもう汚れてんね。てかなんでこんなとこに?」
あーえっと
「ちょっと…変な人に絡まれまして」
「ありゃ。ここら辺治安悪いから気をつけてね」
そうですねー
喧嘩とか勃発してるみたいですしね
それより…
「あの…あなたはなんでここに?」
こんな細い道を抜けないと入れないような場所に?
カフェオレの人は私の質問に対してニヤリと笑った
その表情でさえ、今にも夜に溶けていきそうなほど綺麗
「俺の見つけた秘密の場所なの」
秘密の場所?
「もう少し待ってて」
へ?
カフェオレの彼はそう言って空を見上げる
待つって…何を?