今夜もあなたと月、見ます。


「女の子2人でも声かけてくるやつはいるぞ」


…あ

そうか

男の人と行くなんて言ってないもんね

まさかそうとは思わないよね

…えと


「だ、大丈夫だよ。お…んなの子じゃないし」

ゴニョゴニョと呟く

「…え?」

おじさんの聞いたこともない素っ頓狂な声

恐る恐る見上げると、見たこともないような顔をしている

年齢を感じさせない整ったその顔が鳩が豆鉄砲を食ったように固まっている


「じゃ、じゃあ、そろそろ行くから!」

謎に恥ずかしくなってしまい、いそいそと靴を履く

「ちょ、ちょっと待って、晴!晴さん!今なんて言った!?」

「行ってきまーす!」


半ば逃げるように家を飛び出した

ごめんよおじさん

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