今夜もあなたと月、見ます。


よし。


待ち合わせ場所は遊園地の最寄駅

余裕を持ってだいぶ早めの電車に乗ってきたので
まだ響紀さんはいない

携帯の画面を消して、鏡がわりに使う

髪型は崩れていない

メイクも大丈夫


…き、緊張してきた

イメトレしておこう



「おねーさん」

きっと響紀さんはお待たせとか、待った?とか聞いてくるだろうから
大丈夫ですって言って、早く来ちゃったのでって言おう
そしたら…

「おねーさーん」

いや、早く来ちゃったって言ったらなんか楽しみにしてたみたいだから…
いや楽しみにしてたんだけど、なんか子供っぽいから

「おねーさんってばぁ!」



「え」

「やっほー!」



え、私?


自分の世界に入り込んでいた私に声をかけるのは見たことない男の人二人組

歳はちょっと上くらいかな

なんだかチャラチャラと言う効果音が似合いそうな雰囲気を醸し出してる

私…だよね?声かけたのって


「えと、なんでしょうか」

茶髪でピアスバチバチのお兄さんが私の顔を覗き込む

「おねーさんめちゃめちゃ美人だね」

はあ…それはどうも

「1人なの?」

「えと…人を待ってるんです」

「そうなんだー!何時に待ち合わせなの?」

「11時です」

「まだ10分くらいあるよーだいぶ早めに来たんだねー」


はあ…で、なんなんだ?

何が目的なんだ?

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