今夜もあなたと月、見ます。
「…何してんの?」
!
心地の良いようで、なぜか鳥肌が立つ低音の声
その声は私の後ろから聞こえた
これは
「響紀さん」
振り向いたそこには、にっこり笑った響紀さんがいた
あまりにも綺麗で絵に描けそうな作り物の笑み
響紀さんだ。
何も考えず、私の足はまっすぐそちらへ向かった
「あ、おい!」
男の人の声を無視して早歩きで向かう
響紀さんが私に手を伸ばした
その手を掴んだ瞬間ぐんっと引き寄せられる
「ごめん待たせた」
「いえ、私が早く着いたので」
響紀さんの手が私の背中に回る
思わずドキリと心臓が鳴った
「…なんだよ待ち合わせって彼氏かよ」
「男いんのかよ」
二人組がぶつぶつと文句を言い出し
チラリとこちらを見てから背を向けた
なんなの?感じ悪いな
「晴」
?
「ちょっとここで待ってて」
え?
「はい…?」
響紀さんが私の頭を撫でて二人組の方へ歩き出す
なんだろ