今夜もあなたと月、見ます。


ーーー


「う、うぅ」

「響紀さん、大丈夫ですか?酔いました?」

「いや、酔ってはない」

「じゃあ恐怖ですくみました?」

「…はい」

きっとこの世であの響紀さんのこんな姿を見れる人間は限られているでしょう


「晴は平気なんだね」

「そうですね、むしろスリルは好きなくらいです」

「さすがっす」

「ふふふ、遊園地久しぶりだったのではしゃいじゃいました」

「俺も久しぶりだったけど、ここまでになるとは…歳かな」

たいして変わりませんよ私たち
本当に歳の方に怒られますよ

「ちょっと休みましょうか」

「うん、ありがとう」



2人で観覧車のよく見えるベンチに座る

初夏の微風が気持ちいい

「響紀さん」

「ん?」

「今日は連れてきてくれてありがとうございました」

「うん、楽しい?」

「はい!とっても!」

「そらよかった」

にっこりと優しく笑う響紀さんの表情に見惚れながら、自分も表情が緩む


「…晴、今日の質問していい?」

「いいですよ」

「晴はさ、恋人がいたことはある?」


……え
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