今夜もあなたと月、見ます。
思ってもなかった質問に思わず身体が固まる
こ、恋人って…恋人
わかりやすくフリーズした私を少し揶揄うように見つめる響紀さん
何でそんな質問…を
いや、特に意味はないかもしれない
純粋に気になっただけだきっと
「ない…です」
誰かを好きになったことも…あなたが初めてです
そこまでは、言えないけれど
「…そっか。俺もだよ」
・・・
「はあ!?」
「うわ、びっくりした。そんな大きい声出るんだ」
あ、すみません…
じゃなくて!
「嘘ですよね」
「え?嘘じゃないよ」
「き、気を遣ってるんですか?私に」
「え、いやいや何言ってんの、マジでいないって。ここで嘘つく意味ないでしょ」
…う、嘘だ
このビジュアルだぞ…このビジュアルでこの立ち位置の響紀さんに彼女がいたことないなんてこと…
あるわけがない
「誰も寄ってこなかったよ。女の子は特に」
…え
「まあ毎日喧嘩沙汰起こしてたら怖くて近寄れないよな」
「え、本当なんですか?」
「だからそうだってば」
…まじか…
世の中ビジュアルが全てだと思ってた
「興味もなかったし、身近にそんな相手いなかったからね」