今夜もあなたと月、見ます。


ーー……


「う、うぅ」

「…」


さっきまでのムードは?

ねぇ、ちょっと

かなり良い雰囲気だったのに


「高すぎじゃね…?」


もう!響紀さん!

観覧車に乗ってまだ4分の1程度しか上がってないのに、響紀さんが手すりに捕まって怯えてる


「これ落ちたりしないよね?」

「するわけないじゃないですか」


道組総長さんがこんなんでどうするんですか

さっきまでのかっこいい響紀さんはもう帰宅してしまったのでしょうかね

でもなんだか…


「ふふっ」

「あっ!今笑ったろ!」

面白い

「笑うでしょう、さっきまでとは大違いですから」

「苦手なものは苦手なの」

「言っておきますけど、乗ろうって言ったのはあなたですからね」

「だって遊園地といえばこれでしょ?」

ふふ


総長だなんてレッテルがあったとしても

私の前では普通の青年として、ここにいてくれるこの人がどうしようもなく好き


「響紀さん」

「ん?」

「ありがとう」

色々と


「…うん」


来てよかった

最高の夏休みだ

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