今夜もあなたと月、見ます。
「ない…です」
あれ、なんだろ、思ったよりも…
「…そっか。俺もだよ」
…なぜだか、ほっとした
ないという答えに安心した
何故だか少し気分が良くなる
変なの。
なんて勝手に機嫌良くなってる俺に、絶対嘘だと抜かす晴
「マジでいないって。ここで嘘つく意味ないでしょ」
何の根拠からなのか、信じられないと言った顔を向けられる
「誰も寄ってこなかったよ。女の子は特に」
まあ毎日喧嘩沙汰起こしてたら怖くて近寄れないよな
興味もなかったし、恋愛なんてずっと縁のない世界にいた
「え、本当なんですか?」
「興味もなかったし、身近にそんな相手いなかったからね」
恋愛をしたいなんて思わないし、誰かを大切に思う気持ちはイマイチよくわからない
成り上がりの、大人になった気でいるだけの未熟者だ
だからこの先も…そうだと思ってた
なのにこの、普通ではないこの晴という女の子が今俺の隣にいて
あたかも恋人のような1日を過ごしていることにすごく違和感を感じる
それと同時に
何故だかすごく心地がいいんだ