今夜もあなたと月、見ます。
「そろそろ日も陰ってきたし、最後にあれ乗る?遊園地といえば」
これ以上晴を見つめていたらまずいと思って咄嗟にそんな提案をした
少し考えて柔らかく笑う晴
の手を握ってしまえば離せなくなるんだ
生まれて約20年
初めて恋という感情を知った
晴という女の子を
こんなにも愛しく思う気持ちを知ってしまった
俺が俺の生き方をしてきて、今後も総長と呼ばれる人間であり続けるのであれば
この感情がどんな重荷になるかは分かっている
でも、俺だって完璧な人間じゃない
目の前に好いた人がいて、どうやって抑えろというのだろう
俺は案外馬鹿だから、目の前のことでいっぱいになると割と周りが見れなくなる
俺を慕う人間や、憎む人間や、そういったことを考える余裕もないくらい
今まで抱えたことのない、とびきり大きな感情が
ただ溢れてやまないんだ