今夜もあなたと月、見ます。
「何か御用ですか」
怯んではダメだ
恐れず、なるだけ堂々と胸を張って言う
「…へぇ。やっぱあいつがそばに置いておくだけありそうな子だね」
「まみや」
横井くんが心配そうに私の名を呟く
「用がないならもう行きます」
私から見たらあなたただの不審者なんですけど!
さっさとおさらばしよう
スタコラと歩き出した私に慌ててついてくる横井くん
その男の横を通り過ぎた時
「っ!」
男に腕を掴まれて体が止まった
ゾッと悪寒が走る
「忠告しようと思ったんだ」
は?
「夜道には気をつけた方がいいよ。あいつはいろんな恨みを買ってるからね」
っ!
横目で私を見るその男
私も同じように横目で見る
相変わらず笑っているのは口元だけ
「…ご心配どうも」
冷たく言い返せば
「覚えておくよ、君の顔」
それを超えてくる悪寒が彼の言葉に着いてくる
この人…もしかして
感じるのは響紀さんと同じくらいの強者感
不気味でとにかく冷たくて怖い
そんな人形のような人
「別に結構です。では」
「ははは、面白いね」
冷たい目
気持ちが悪いや
なるべく振り向かないようにその場を去った
やっぱりこの人
響紀さんを知ってる