今夜もあなたと月、見ます。




「間宮、間宮っ!」


早足で進む私に必死で着いてくる横井くん

「間宮ってば」

ぐんっと腕を引かれる

「落ち着けよ、なんでそんな焦ってんの」


焦る?


「焦ってるように見える?」

「え、いや、違うならいいけど」

「…」


焦るっていうか

怖かったんだろう

だから逃げたかっただけ



「…ごめん間宮」



横井くんが急に小さくなって言った

「何が?」

「…変に、巻き込みたくはなかったんだけど」




やっぱりあの人は

「風組の人なの?」

横井くんが頷く


やっぱりそうか

まあそうだよね

なんか、うん。そんな感じした



「…風組の現総長、瀧本風磨」

総長…ってことは

響紀さんの、敵



「なんで私のこと知ってるんだろう」

響紀さんは多分話したりしない

「俺は全く話したことはないよ」

「…響紀さんも言ったりしないよ」


てことは

「…調べられてたのかもしれない」

うん…

横井くんが低い声で言った

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