今夜もあなたと月、見ます。
ぐいっ!
「わっ!」
煙草の男2人の元から再びカフェオレの人の方へ体が戻る
私の腕を掴んで引き寄せたのはもちろん彼で
そのまま自分の後ろへと私を引っ張り、彼の背中側に入った
そして
ぐんっとカフェオレの人が長い足を振り上げた
っ!
ずどっ!
息を呑むのと同時に鈍い音が響く
「くあっ!」
ガッシャーン!
と、さっき私を引き寄せた方の煙草の男が派手に吹っ飛んだ
……へ…?
カフェオレの人の表情は相変わらず気の抜けた感じで、特に喜怒哀楽が見えない
蹴り飛ばした足を静かに降ろして、私の腕を再び引き、彼と体が密着する
「ごめんごめん、言ってなかったよね」
しんとする部屋と、怯えた残っている方の煙草の男
怖いくらい感情のこもっていない“ごめん"
他の柄の悪い男たちも空気を硬らせて背筋を伸ばしている
「この人俺の女だから、手出したら…」
カフェオレの彼は目の光がないまま口だけで笑い、残っている方の煙草の男の顔を覗き込んだ
「生きたまま埋めるよ」
ぞくり
背筋が凍ったかのように背中から体の芯までが冷えきった
笑っていないグレーの目を少し鋭くして圧をかける
部屋中の空気が凍る
カフェオレの彼は覗き込んでいた体を引いて私の背中に手を回した
そして今度はしっかり『怒』の感情を持った、鋭く光る目を男たちに向ける
「…返事」
「「はい!!」」