今夜もあなたと月、見ます。
十六夜
「年齢を確認したいので、身分証明書のご提示をお願いします」
「……あ?」
コンビニのレジの向こう側で煙草を注文した二人組の男
正直20を超えているようには見えない
童顔の人だっているから断言はできないけれど
判断できない場合は身分証明書の提示を要求する
もし身分証をお客様が持っていなければ販売することはできない
と、マニュアルにあった
もし未成年に煙草やお酒を売ってしまった場合は、店の責任
はたまた店員であるこの私の責任になってしまう
それは困る
だから私はマニュアル通り
成人かどうか確認できないこの男達を相手に、身分証の提示を要求しているのだ
「ああ、今持ってないだけっすよ」
「そうそう、いつも吸ってるから大丈夫大丈夫」
それでは困るんです
万が一責任を負えと言われても、高校生の私では対応しかねる
「お客様、申し訳ありませんが年齢の確認ができない場合、商品をお買い求めいただくことはできません」
ご了承の程お願いします
でも
「はぁ?ダリィんだけど」
「さっさとしろよ店員サーン」
…
なんとなくそんな気はしていた
この男どもが入ってきた時から、なんかヤバそうな人だなとは思っていたから