今夜もあなたと月、見ます。



圧倒的な力


誰がこの場所でのトップなのか


誰に逆らうことができないのか


瞬時にして理解できる



カフェオレの人、道枝さんが


ここでのトップの人なんだ




…っていうか、私のこと彼女とか言っちゃってるけど大丈夫なのかな

その場凌ぎの嘘であることはさすがにわかるけど

もっと他にいい、なんかなかったのかな…



「…ちょっと用事済ませてくるからここで待っててくれる?」




沈黙を破った道枝さんが私を覗き込んだ


「大丈夫、誰も君に手は出せないから」


あ、ああ、そうね

さっきの見てればわかる


こくんと頷いた


彼は私の頭に手をポンと置いて、男たちの中から誰かにアイコンタクトを送った

そして奥の部屋へと消えた



………





きまずっ

めっちゃ気まずいこれ


しんとする部屋の中で、柄の悪い男たちが不思議そうに私を見ている

もちろん誰も近寄ってはこない



「道枝さんが彼女連れてきたのって初めてだよな」

「久々にキレた道枝さん見た……」

「…こんなとこまで連れてきて俺たちに見せしめるとは…相当愛されてんだなこの人」

「変に近づくなよ、真面目に生き埋めにされるぞ」



…なんかぶつぶつ言ってるけど、不自然なくらい距離を取られて居心地が悪い


早く帰ってきてカフェオレの人ぉお!!

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