今夜もあなたと月、見ます。


「あー!女の子がいるー!」




少しして、勢いよく扉が開いたと思ったらそんな声が聞こえた


入り口から笑顔で入ってきたのは綺麗な顔をした男の人だった

若そうに見えるけど…


栗色の癖毛の髪と女の子よりも大きなパチクリした目

可愛らしい雰囲気でダボダボの服を着ている

どう考えてもこの場所には似合わない人物


入ってくるなり、駆け足で私の前に立った


…ひ、ひぃ


「へー可愛い子!誰かの彼女ー?」

まじまじと見つめられて冷や汗を流す


なんか、他の男の人たちとは雰囲気がだいぶ違うけど…

したっぱ…って感じがあんまりしない


「み、道枝さんの彼女です」

煙草の男の人が少し怯えたように言った


「……え?」

栗色の男の人がその大きな目をパチパチさせた


「響紀の?」

ひびき…?


「うっそ!まじか!あいつ彼女とかいたの!?やっばぁ!今世紀最大の驚きぃ!」

ゲラゲラ笑いながら再び私を見る


「へぇ……あいつって面食いだったのー?まあこんなに可愛らしい人よく見つけてきたね」


そんなまさか

こんなどこにでもいるような顔
世界に76人くらいいるような顔

可愛さとは無縁ですよ

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