今夜もあなたと月、見ます。



外に出て、バイクの準備をしている道枝さんとやらを眺める


一見は普通のイケメン大学生

でも、おそらく普通ではないのだろう


「気になる?」

…へ?

「すごい見られてたから」

え、あ

「すみません」


「あはは、びっくりした?ここ」

そう言ってビルの上を指さす


「…はい。暴走族ってやつなんですか?」

私の質問に一度顔を上に仰いでから、んーと唸った


「そういうことになるのかなー。俺もよく分からないや。気がついたらこうなってた」

気がついたら…


「……総長さん…なんですか?」


暴走族の、総長


「…まあ、あいつらにはそう認識されてるかな」


…そうなんだ

「俺はそんなつもりないんだけどね。最初は1人で好き放題やってたんだけど、気がついたら人が増えてた」

そういうものなのかな


でも、やっぱりこの人は

私とは住む世界の違う人だった


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