今夜もあなたと月、見ます。

翌日


案の定、あんまり良く寝付けず

少し眠い目を擦りながらクマを隠すようにいつもの大きめの眼鏡をかける


別に普段からかけていなきゃならないほど目が悪いわけではないけど

黒板の字がたまに見えにくいので度の弱い眼鏡をかけている

それに、眼鏡があるだけで少し周りとの壁を作れるような、謎の安心感がある


海ヶ丘高校

海と隣接するこの街にある大きな高校

私はそこへ通う三年生


六月後半、夏にさしかかり

受験生である私たちは勉強尽くしの毎日

とはいえ私は行きたい大学への推薦が決まりそうだし、勉強は苦手じゃないからそう焦ってはいない

でもやっぱり周りがカツカツしてるから自分もそんなような気分になってしまう


「はーるぅぅぅ!」

わっ

後ろからドンと何かに飛びかかられる

私の背中に顔をすりすりしているのは

「桃音」


宮本桃音(みやもとももね)

私がこの学校で唯一友達と呼べる人

地味で控えめな私とは対照的で、いつも明るくてスカートを無駄に短くしているような可愛らしいキャラ

他のクラスメイトとの交流も盛んだが
出席番号が近く、話すことが多かったからか何故か私に懐いている

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