今夜もあなたと月、見ます。


「ふーん。あやつもやるよのう」



桃音が謎に悪戯に笑う


「何?」

「んー?横井くんだよ。なかなかにずるいやり方するなぁと思って」



なんの話?

「晴は良くも悪くも鈍感だよね」

はあ?

「なんでもないよ可愛い子ちゃん」

何それ気持ち悪い



「桃音ー!」

「んー?なになにー?」


クラスの女子に呼ばれて桃音が去っていく


桃音は明るくて可愛い女の子

クラスのみんなから好かれている

そんな桃音がなぜ私に懐いているかは知らないけど


私はこれといって友達という友達がそうたくさんいるわけではない

必要以上に人とは関わってこなかった


友達という関係に必要性を感じなかったからだ

それは今も変わっていない


桃音がいなくなり、一人になった私はいつも通り暇な時間を潰すために教科書を開く


勉強は嫌いじゃない

知識が増えるのは面白いもの



でも…

そんな勉強好きの私でも、知らないことはたくさんあった


昨日の出来事を思い出して赤くなりそうな頬をペチペチと叩いた

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