今夜もあなたと月、見ます。


放課後


「ごめんね手伝ってもらっちゃって」

「同じ学級委員なんだし当然だよ」


珍しく誰も残っていない教室で横井くんと向き合って座っている


「…間宮って真面目だよね」



「そうかな」

「うん」

んー

「真面目でも別に誇れるようなことはないけどね」


そりゃ不真面目よりは聞こえはいいけど

真面目だからってめちゃめちゃすごい人ってわけでもない


「俺は好きだよ。真面目な人」



横井くんが手を止めて私をみる

その綺麗な顔に見惚れそうになりながら紛らわすように手を動かす

これは、お礼を言うべき?

「えっと、ありがとう?」

「あはは、そういうところ」



からりと笑って作業に戻る

横井くんこそ真面目で爽やかなイメージだけどな


…ん?

「横井くん、それどうしたの?」

「え?」

「右の眉毛の上、なんか切れてる?みたいなアザがあるけど」

横井くんの綺麗な顔の右上に縦長のアザがあった

前髪で隠れてたから気づかなかったけど、今は結構な至近距離だから見えた

「え、あー猫かな?」

猫?

「飼ってるの?」

「飼ってるって言うか…うーんまあ、そうかな?」


へえ、意外

てかどんな力で何されたらそんなアザになんのよ

と聞きたいところだけど

猫のことは知らないのでやめときます

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