今夜もあなたと月、見ます。


「なにしてんの?」




蛇に睨まれた蛙のように恐怖で魂が抜けそうになっていた私と、今にもキレそうな男2人

に、声をかけてきたのは後ろに並んでいた人だった

背中で手を組んで口を尖らせ前屈みになり、こちらを覗き込んでいる

確かこの人も…暴走族の人達と一緒に入ってきた人


細身で色白な肌と真っ黒の髪の毛

スッと伸びた瀧本先輩よりも高い身長

芸能人かな…って錯覚するくらい綺麗な男の人

こんな状況じゃなかったら見惚れてたけど
今はそれどころではない


「いつまでやってんのー邪魔なんだけど」

気の抜けそうな力のない声と、だるそうな表情

思わず心配になってしまう


大丈夫なのかな…そんな態度とって

この2人の逆鱗に触れるのではないかと
ハラハラしながら態度の悪い高身長の男を見る


だけどどうやら

その心配は必要なかったようで


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