今夜もあなたと月、見ます。


と、

呆れて見ていた響紀さんの頬を何か赤いものがつたう


!?

「え、ちょ!響紀さん!?血が出てますよ!」

「え?」

「ほっぺたです!何かで切れたみたいな跡が!」


響紀さんの人より白い肌をつたう赤い血はたらりと顎へ向かう

思わず青ざめる

「あれ?いつだろ…あ、さっきだ。ここに着地しよーとした時、まさか下に人がいると思わなかったから無理やり体ひねった時に引っ掻いたんだ」


え、じゃあ私を避けてってこと?

私のせ…い、ではない!!

ではない!私何にも悪くないわ!歩いてただけだもん!

危ない危ない、変な勘違いをするところだったけど

確実にこんなところ飛び越えてくる響紀さんが悪い


「まあこれくらい良くあるから問題ない」

はあ

とはいえ、見てる分には痛々しい

「ちょっと待ってください、絆創膏持ってます」

「くれんの?」

「痛々しいので」

「わーい」


ものすごいスピードで事が進みすぎてアレだけど

……


響紀さんに、会えた

思わず緩みそうになる頬に力を入れて誤魔化した

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