今夜もあなたと月、見ます。


「ふふ」



絆創膏を渡すと気の抜けた笑い声が聞こえた

「何笑ってるんですか?」

「…いや、思いがけず晴に会えたから」

…っ

「…そうですか」

「なあせっかく会えんたんだからさ、質問していい?」

一回会うたび一つできる質問

「いいですよ」

「んー何にしようかな」


…何にしようかな

ドクドクといつもより早く動く心臓の音


聞きたいことがたくさんありすぎて一つに決められない

約束をしているわけでもない私たちは

そう頻繁に会える関係ではない


この一回が私にとってどれだけ…


「…じゃあさ、晴…」


質問を決めたのか響紀さんが口を開いた

しかしその続きは聞けなかった

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