今夜もあなたと月、見ます。
スッと響紀さんの後ろで再び上から下に影がよぎる
思わずビクッと体全体を使って驚く
その様子を見て響紀さんが顔を歪める
「っ…はぁ、やっと追いついた…道枝っ」
響紀さんの後ろで、しっかり顔が見えないけど…どことなく聞き覚えのある声がそう言った
追いかけてた人だよね
ぼ、暴走族関連の人だよね
怖くなって体を縮こめる
「ちょこまか逃げやがってウゼェんだよ」
「…」
肩で息をしているその人物は黒いパーカを着ていてフードをかぶっている
目の前の響紀さんの表情がだんだん冷たくなっていく
「おい聞いてんのか」
「…うざいのはどっちだよ、今俺は晴と話してんだ、邪魔すんな」
淡々とそう言った響紀さんがくるりと向こう側を向いた
フードの男が顔を上げ…る
…え
その人物を見て、私の思考は停止する
「…え」
フードの男も私を見て同じように固まる
ま、まさかそんな…