今夜もあなたと月、見ます。



スッと響紀さんの後ろで再び上から下に影がよぎる

思わずビクッと体全体を使って驚く

その様子を見て響紀さんが顔を歪める


「っ…はぁ、やっと追いついた…道枝っ」

響紀さんの後ろで、しっかり顔が見えないけど…どことなく聞き覚えのある声がそう言った


追いかけてた人だよね

ぼ、暴走族関連の人だよね

怖くなって体を縮こめる


「ちょこまか逃げやがってウゼェんだよ」

「…」


肩で息をしているその人物は黒いパーカを着ていてフードをかぶっている

目の前の響紀さんの表情がだんだん冷たくなっていく


「おい聞いてんのか」

「…うざいのはどっちだよ、今俺は晴と話してんだ、邪魔すんな」


淡々とそう言った響紀さんがくるりと向こう側を向いた

フードの男が顔を上げ…る


…え


その人物を見て、私の思考は停止する


「…え」


フードの男も私を見て同じように固まる


ま、まさかそんな…

< 78 / 177 >

この作品をシェア

pagetop