今夜もあなたと月、見ます。


呆然とする横井くんを置いて行く


え…えぇ…

ちょっと、なんていうか…

「クラスメイトか、さっきのやつ」

え…ああ

「はい。同じクラスで同じ学級委員の人です」

「学級委員ねぇ…そんな玉じゃないと思うけどねぇ」

こっちもびっくりだよ

まさか学級委員なんかやってる優等生が風組の下っ端だなんて


「仲良いの?」

「え…と…まあ、比較的に仲は良い方かと」

「ふーん、幻滅した?」

「いや、幻滅はしないですよ」

はっきり答えたのが意外だったのか、前を行く響紀さんが歩くスピードを緩めてこちらを見た


「別に暴走族ってことに対して良い悪いは言いませんから。ただ意外だって思っただけです」

「…そっか」

静かにそう答えた響紀さんの、私を掴む手がすこし強くなった気がした


…てか、いつまで手握ってるんだろ

意識してしまうと妙に恥ずかしくなる

急に熱を持ち出す手

汗をかいていないかという不安が募る


ぐんっ!


そんなことを考えて手を見ていたらそれが力強く引かれる

前のめりになって響紀さんの背中にぶつかりそうになる

「わぷっ!な、なんですか?」

「…晴、ちょっとだけ付き合ってくんない?」


…え?

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