今夜もあなたと月、見ます。


「…晴って綺麗な顔してるよな」


…え?

ボソリと、まるで意図せず言ってしまったかのような声がそう言った


「何言ってるんですか」

「あーごめん声出てた」

「私が綺麗な顔とかしてるわけないじゃないですか」

「は?」


なんて言ったって

「私は"いらない子"ですから」


親の顔も覚えてないし

別に可哀想な自分に酔ってるわけじゃないけど、誰かに必要とされているわけでもない

不幸だとは言わないけど

幸せだとも言えない


ただ

おじさんに、親戚の人に、私を知ってる人に

"いらない子"だと思われているのは確かだ


もし、もし私が
世間一般で言う、綺麗な顔をしているとしたら

それは

所詮しょうもない飾りに過ぎない

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