今夜もあなたと月、見ます。


「ろくでもないってんなら、ろくでもない人間でいいんですよ。誰かのための響紀さんじゃない。響紀さんのための響紀さんなんだから」

丸い目を向けている響紀さんをまっすぐ見る

「がっかりなんてするわけないじゃないですか。
むしろ人間らしくていいじゃないですか。我が道を行く、道組総長らしき人柄だと思いますよ」


何を考えているのかわかりづらくて

なんとなーくいつも気怠げでやるせない感じだけど

それでこそ響紀さんなのではないか?

私はまだこの人のことを詳しくは知らないけど

だからこそ、第三者として、道組を外から見る人間の一人として

そう思う



「…はるって」



ポカンと私を見ていた響紀さんが声を溢す

「なんですか?」

「晴って…ほんっとに面白いよね」

…へ?

面白い?

その割にはクスリとも笑ってないけど

相変わらず気の抜けたような顔をしている

それでも失われないその顔面の整い具合は何事じゃと聞きたいところだが

やめておこう


「そんなこと…言われるとは思わなかった」

え?

「…そっか、うんそうか…人間らしくていい…か」



「なんですか?」

「…ふふ」

笑った!

「晴って最高だわ」

え?

「ありがとう」

…?

「えと、どういたしまして?」

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