聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
「なるほど。楽しみだな」

 十弥は幸せそうにほほえんだ。この笑顔が玲奈に安心と勇気を与えてくれる。

(この子は父親に望まれて、愛されている。私とは違う。きっと幸せになれる)

「一緒に風呂に入っていると、イブの夜を思い出すな」

 玲奈の脇腹をくすぐるように撫でながら彼は言う。玲奈は羞恥に頬を染めて、うつむいた。

「あの夜のことは、できれば忘れて……」

 酔っていたからといって、恋人でもなんでもない相手を自分から誘っただなんて……玲奈もできることなら忘れてしまいたい記憶だ。
 濡れて湿った彼の唇が玲奈の背中を這う。彼の手がお腹から胸元へとあがっていく。

「あっ」

 もれる吐息を絡め取るように十弥は唇を重ねた。柔らかな舌が焦らすように上顎をなぞり、玲奈の口内を甘く刺激する。角度を変えながら、彼はキスを繰り返した。
 頭も身体も熱くてたまらない、のぼせてしまいそうだ。

「君にとっては一夜の過ちだったのかもしれないが、俺は違う。本気で君が欲しかった」

 正直に白状してしまうと、玲奈はまだ彼との結婚には実感が湧いていなかった。ようやく子どもの存在を受け入れられるようになったばかりなのだ。

(副……十弥は本当に私と結婚するつもりなの?)

 その答えを探すように玲奈は彼の瞳を見つめた。返ってくるのは、どこまでも甘く、優しい眼差し。
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