聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
 玲奈はくすりと笑って返す。不思議だった。完全に恋愛対象でなくなった今のほうが航平との会話が楽しく感じる。

「子どもを望まない理由を聞いてもいいかな?」

 玲奈は少し思案して彼の質問に正直に答える。もうかかわることのない相手だと思うと、かえって話しやすかった。

(昔の話だからね。望まなかったのは過去の話)

 お腹の子どもに向かってそう前置きしてから、玲奈は口を開く。

「私の場合は、自分自身の親子関係……ですかね。あんまり良好とはいえなかったから」

 それを聞いた航平は意外そうに目を丸くした。

「意外でしたか?」
「うん。仕事熱心だから、キャリアを大事にしたいタイプなのかと思ってた」

 玲奈は苦笑して首を横に振る。

「そんなに仕事人間じゃないですよ」

 航平は自分の顎を撫でながら、言葉を選ぶようにゆっくりと言った。
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