聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
「誤解するな。君と結婚したい気持ちと、子どもができたことはなにも関係ない」
「でもっ」

 玲奈は彼の言葉にかぶせるように反論をこころみる。

「妊娠の事実がなければきっと……」

 今も上司と秘書の関係だったはず。玲奈がそう言うと、彼は笑って首を横に振った。

「前にも言っただろう。君のプロポーズは酒の勢いだったんだろうが、俺の答えは本気だった。子どもができていなくても、玲奈を口説き落として妻にするつもりだったよ」

 玲奈は戸惑う。玲奈に責任を感じさせないための優しい嘘なのか、それとも本音なのか……玲奈はそれを読み取れるほどの恋愛上級者ではなかった。
 十弥はふっと苦笑をもらして、悪戯な瞳で玲奈を見つめた。

「その顔は疑ってるな。仕方ないから、正直に打ち明けるか」 

 十弥が語ったのは秘書室での出会いよりずっと昔のことだった。

「俺はあの日より前から君を知っていた。君がまだ新人秘書だった頃の話だ」

 
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