聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
当時、玲奈は新入社員として秘書室に配属されたばかり、十弥はロンドン支社に赴任する直前だった。会社の創設記念パーティーでふたりは会っていたと、十弥は言った。
「パーティーのことはもちろん覚えてる。入社して最初の大きな仕事だったから」
あの頃の玲奈はまだ担当役員はおらず、先輩のアシスタント業務をこなしていた。御曹司である十弥がものすごくイケメンだと先輩たちがはしゃいでいたのは覚えているが、十弥本人と言葉を交わした記憶はまったくない。
「大した話はしてないな。俺が一方的に君を見初めただけだ」
玲奈は驚きで目を丸くした。見初められるような働きはなにもしていないからだ。今は秘書室のエースといわれキャリアウーマンを気取っている玲奈だが、当時は完全に秘書室のお荷物だった。失敗ばかりで、指導係の先輩はいつも呆れ顔だった。
「えっと、もしかして誰かと間違えていない? あの頃の私は本当にどんくさくて……」
くっくっと肩を震わせて十弥は笑う。
「間違えてない。たしかに……当時はちょっとどんくさかったな」
「見初めたって、いったいどこを?」
彼は口を開きかけて、はたとやめた。唇の端だけを持ち上げ、にやりとする。
「それは言えないな」
「えぇ?」
「パーティーのことはもちろん覚えてる。入社して最初の大きな仕事だったから」
あの頃の玲奈はまだ担当役員はおらず、先輩のアシスタント業務をこなしていた。御曹司である十弥がものすごくイケメンだと先輩たちがはしゃいでいたのは覚えているが、十弥本人と言葉を交わした記憶はまったくない。
「大した話はしてないな。俺が一方的に君を見初めただけだ」
玲奈は驚きで目を丸くした。見初められるような働きはなにもしていないからだ。今は秘書室のエースといわれキャリアウーマンを気取っている玲奈だが、当時は完全に秘書室のお荷物だった。失敗ばかりで、指導係の先輩はいつも呆れ顔だった。
「えっと、もしかして誰かと間違えていない? あの頃の私は本当にどんくさくて……」
くっくっと肩を震わせて十弥は笑う。
「間違えてない。たしかに……当時はちょっとどんくさかったな」
「見初めたって、いったいどこを?」
彼は口を開きかけて、はたとやめた。唇の端だけを持ち上げ、にやりとする。
「それは言えないな」
「えぇ?」