契約結婚は月に愛を囁く
 俺とジョルジュの二人は寝室を後にし、その後は用意された食事を食べた。
 すっかり忘れていたが、そういえば腹が空いていたのだ。
 女中がティーセットを運んで来てくれたのは場所を移した書斎。

 正直言うと、俺もまだ仕事の手伝いや相談なんて早いし、偉そうな事は出来ない。
 それでもジョルジュが俺をその位置に選んだのは気安さもあったのだろう。

『メリル嬢は大丈夫なのか? 一緒に連れて来るかと思っていたが』

『俺もそのつもりだったんだが、行き帰りが女のメリルでは疲れるだろうからな』

『俺としてはアイリスが寂しがらずにすむと思ったんだがな』

『まぁ、な……』

 まるでアイリスとの時間を邪魔されているような、変な感じだ。
 それでもジョルジュは友達であり、アイリスの夫となる人物なのだ。

 なんだか酒でも飲みたい気分だ。
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