契約結婚は月に愛を囁く
 アイリスはあの時から俺の婚約者で、もうすぐ妻となる女。
 式も間近に迫っている。
 本来ならこの時期にというより、わざわざ自分が苦しくなるような事をすべきではない。

 そんな事わかっているし、百も承知だ。

 それでもこんな手段を取ったのはアイリスを愛しているからだ。

 彼女を妻にする為に俺がどれだけの想いをしてきたか。
 カークス、全てを手にするお前にそれがわかるか。
 アイリスが求め、願った愛はお前なのだ。

 そしてそのアイリスの願いを叶えさせてやりたいと願う俺の想いもまた愛なのだ。

 例え、間違っていたとしても。
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