契約結婚は月に愛を囁く
その日の夜、早めにベッドで寝るように言われた私は目が冴えて眠れなかった。
村で見た今日のあの子の顔が散らついてしまう。
あれは何だったのか。
私によく似ている気がしたのは、そこから遠かったから見間違えたのだろうか。
そう思ったら、余計に眠れなくなったのだ。
ベッドで何度も寝返りを打ちながら、目を閉じて寝ようとした。
そこへ、扉の向こうから話し声が聞こえて来る。
両親がまだ起きていて、声を潜めながら何か話をしているらしい。
私は上半身を起こして扉に近付き、聞き耳を立てた。
『まさか、あんな所で出会すだなんて思わなかったわ』
『ミアは気付いたのか?』
『多分、似ていると思っただけで気付いてはいないはずよ』
『しばらくミアを村に出さない方がいいな』
『えぇ、そうね。 自分が捨てられただなんて知ったら、どんなにショックを受けるか……』
『姉は金持ちだというのにな……』
『それについては毎月、給金が出されているのだもの』
『だが……渡せと言っているだろ』
『嫌よ! どれだけ私達が……』
『そうとも、あの子は私達の娘だ』
『渡してたまるものですか』
村で見た今日のあの子の顔が散らついてしまう。
あれは何だったのか。
私によく似ている気がしたのは、そこから遠かったから見間違えたのだろうか。
そう思ったら、余計に眠れなくなったのだ。
ベッドで何度も寝返りを打ちながら、目を閉じて寝ようとした。
そこへ、扉の向こうから話し声が聞こえて来る。
両親がまだ起きていて、声を潜めながら何か話をしているらしい。
私は上半身を起こして扉に近付き、聞き耳を立てた。
『まさか、あんな所で出会すだなんて思わなかったわ』
『ミアは気付いたのか?』
『多分、似ていると思っただけで気付いてはいないはずよ』
『しばらくミアを村に出さない方がいいな』
『えぇ、そうね。 自分が捨てられただなんて知ったら、どんなにショックを受けるか……』
『姉は金持ちだというのにな……』
『それについては毎月、給金が出されているのだもの』
『だが……渡せと言っているだろ』
『嫌よ! どれだけ私達が……』
『そうとも、あの子は私達の娘だ』
『渡してたまるものですか』