Diary ~あなたに会いたい~
誰かを“好きだ”と思う心は、時に、自分でも
予想もできないほど急速に大きさを増してゆく。
どうにも抑えきれない想いを“恋”と呼ぶのな
ら、俺のゆづるへの想いは確かに、そう呼べる
だろう。
俺は深く息をついて、目を開けた。
フロントガラスの向こうに見える光景は、
どこか異空間に迷い込んだような錯覚さえ
起こさせる。このまま、彼女を連れて逃げて
しまおうか、と、そんなことを思って、俺は
淡く笑った。
------ガチャ。
振動と共に、ひやりと冷たい外気に首筋を
撫でられて、パチリと目を開ける。
身体を起こして隣を向けば、覗き込むような
彼女の眼差しが待っていた。
「もう終わったのか?」
「うん」
両手でスケッチブックを抱えたままシートに
身体を預け、こちらを向いている。
暗がりで見る頬は、少し青白かった。
「そっちは、ゆっくり眠れたみたいね」
「ああ……少し、寝たみたいだな。さっきま
で、起きてたんだけど」
何となく、寝ぼけ顔を見られるのが照れく
さくて、両手で瞼を覆う。
------時刻は5時23分。
朝焼けに染まる水面はキラキラと眩しく、
それだけで、心が洗われるようだった。
「それで、画の方はどう?見せてくれるん
だろう?」
そう言って手を差し出すと、彼女は大切そう
に抱えていたそれを一度見やってから、俺に
渡した。
「どうぞ。ご期待に沿えるかわからない
けど」
口ではそう言いながらも、彼女の表情は得意
げで、明るい。
俺は頷き、固い表紙をめくった。
そうして、目を見開いた。
予想もできないほど急速に大きさを増してゆく。
どうにも抑えきれない想いを“恋”と呼ぶのな
ら、俺のゆづるへの想いは確かに、そう呼べる
だろう。
俺は深く息をついて、目を開けた。
フロントガラスの向こうに見える光景は、
どこか異空間に迷い込んだような錯覚さえ
起こさせる。このまま、彼女を連れて逃げて
しまおうか、と、そんなことを思って、俺は
淡く笑った。
------ガチャ。
振動と共に、ひやりと冷たい外気に首筋を
撫でられて、パチリと目を開ける。
身体を起こして隣を向けば、覗き込むような
彼女の眼差しが待っていた。
「もう終わったのか?」
「うん」
両手でスケッチブックを抱えたままシートに
身体を預け、こちらを向いている。
暗がりで見る頬は、少し青白かった。
「そっちは、ゆっくり眠れたみたいね」
「ああ……少し、寝たみたいだな。さっきま
で、起きてたんだけど」
何となく、寝ぼけ顔を見られるのが照れく
さくて、両手で瞼を覆う。
------時刻は5時23分。
朝焼けに染まる水面はキラキラと眩しく、
それだけで、心が洗われるようだった。
「それで、画の方はどう?見せてくれるん
だろう?」
そう言って手を差し出すと、彼女は大切そう
に抱えていたそれを一度見やってから、俺に
渡した。
「どうぞ。ご期待に沿えるかわからない
けど」
口ではそう言いながらも、彼女の表情は得意
げで、明るい。
俺は頷き、固い表紙をめくった。
そうして、目を見開いた。