塁のふしぎな日曜日
いってぇ……
俺、転んで倒れたのか?
地面から青空を見上げて腰をさする。
ん?
その時、ふと、手に違和感を感じた。
手のひらがざらつく。
砂?
なんで?
で、辺りを見回して驚いた。
神社にいたはずなのに、なぜか砂浜に寝てる。
なんで!?
耳をすませば、さっきまで聞こえていた車の音なんて一切聞こえなくて、代わりに聞こえるのは、ザザン、ザザン、という寄せては返す波の音、そよぐ風が揺らすバサバサという葉の音、甲高い鳥の鳴き声。
えっ?
俺は目を疑った。
だって、ただの砂浜じゃない。その向こうに生えてるのは、椰子の木。鳥の声もいつも聴いてるチュンチュンというさえずりじゃない。動物園でしか聞かないような大きな鳴き声。
ここ、どこだ?
俺が砂に手をついて立ち上がろうとした時、カサッと何かが手に触れた。
起き上がって見てみると、それはさっきの紙切れ。
これ、一体、何だったんだろう?
俺は畳んであった紙を破れないようにそっと開いてみた。
これ……地図?
そこには、島の地図のようなものが書いてある。
これ、もしかして、ここの?
その地図の南側には砂浜があり、椰子の木が描かれている。
そして、島の中央には何か赤い印が付いている。
これ、なんだろう?
そんなこと、ほんとはどうでもよかったけど、ここからどうすれば帰れるのかも分からないから、とりあえず、その印に向かってみることにした。
まず、砂浜の先を左に曲がり、草の生えた道を草を踏みしめながら歩いていく。
しばらく行ったところで、草の下に何か硬い物を踏んだ。
石?
にしては、感触が柔らかいような……
と思ったその時、草むらがガサっと揺れた。
えっ!? 嘘!?
大きなワニが身をよじってこちらを向いている。
その瞬間、俺は考えるより早く駆け出した。
逃げなきゃ、逃げなきゃ!
けれど、草が生えた道は、グラウンドのように速くは走れない。
ワニは俺が踏みしめた草の上を追いかけてくる。
どうしよう?
どうしよう?
その時、今朝、いつものようにポケットに詰め込んできたお菓子があることを思い出した。
今日、持ってきたのは、小袋に入ったおせんべい。
俺は、走りながら、ポケットからせんべいを取り出すと、袋を開けて後ろに放り投げた。
たまたまワニの鼻先に当たって落ちたそれを、ワニはクンと匂いを嗅いで、パクリと口に入れた。
「それ、おいしいだろ?
もっと食べる?」
俺は、残ってるせんべいをゆらゆらと揺らしてみせた。
そして、ワニがこちらに向かって来ようとした瞬間、目一杯遠くへ放り投げた。
軽いから、ボールのように遠くへは投げられなかったけれど、それでも数十メートルは飛んだと思う。
ワニはそのせんべいの描く軌道を目で追うと、くるりと向きを変えて、せんべいに向かって走りはじめた。
今だ!
俺は、その隙に、ワニとは反対方向に駆け出した。
俺、転んで倒れたのか?
地面から青空を見上げて腰をさする。
ん?
その時、ふと、手に違和感を感じた。
手のひらがざらつく。
砂?
なんで?
で、辺りを見回して驚いた。
神社にいたはずなのに、なぜか砂浜に寝てる。
なんで!?
耳をすませば、さっきまで聞こえていた車の音なんて一切聞こえなくて、代わりに聞こえるのは、ザザン、ザザン、という寄せては返す波の音、そよぐ風が揺らすバサバサという葉の音、甲高い鳥の鳴き声。
えっ?
俺は目を疑った。
だって、ただの砂浜じゃない。その向こうに生えてるのは、椰子の木。鳥の声もいつも聴いてるチュンチュンというさえずりじゃない。動物園でしか聞かないような大きな鳴き声。
ここ、どこだ?
俺が砂に手をついて立ち上がろうとした時、カサッと何かが手に触れた。
起き上がって見てみると、それはさっきの紙切れ。
これ、一体、何だったんだろう?
俺は畳んであった紙を破れないようにそっと開いてみた。
これ……地図?
そこには、島の地図のようなものが書いてある。
これ、もしかして、ここの?
その地図の南側には砂浜があり、椰子の木が描かれている。
そして、島の中央には何か赤い印が付いている。
これ、なんだろう?
そんなこと、ほんとはどうでもよかったけど、ここからどうすれば帰れるのかも分からないから、とりあえず、その印に向かってみることにした。
まず、砂浜の先を左に曲がり、草の生えた道を草を踏みしめながら歩いていく。
しばらく行ったところで、草の下に何か硬い物を踏んだ。
石?
にしては、感触が柔らかいような……
と思ったその時、草むらがガサっと揺れた。
えっ!? 嘘!?
大きなワニが身をよじってこちらを向いている。
その瞬間、俺は考えるより早く駆け出した。
逃げなきゃ、逃げなきゃ!
けれど、草が生えた道は、グラウンドのように速くは走れない。
ワニは俺が踏みしめた草の上を追いかけてくる。
どうしよう?
どうしよう?
その時、今朝、いつものようにポケットに詰め込んできたお菓子があることを思い出した。
今日、持ってきたのは、小袋に入ったおせんべい。
俺は、走りながら、ポケットからせんべいを取り出すと、袋を開けて後ろに放り投げた。
たまたまワニの鼻先に当たって落ちたそれを、ワニはクンと匂いを嗅いで、パクリと口に入れた。
「それ、おいしいだろ?
もっと食べる?」
俺は、残ってるせんべいをゆらゆらと揺らしてみせた。
そして、ワニがこちらに向かって来ようとした瞬間、目一杯遠くへ放り投げた。
軽いから、ボールのように遠くへは投げられなかったけれど、それでも数十メートルは飛んだと思う。
ワニはそのせんべいの描く軌道を目で追うと、くるりと向きを変えて、せんべいに向かって走りはじめた。
今だ!
俺は、その隙に、ワニとは反対方向に駆け出した。