だいきらいなアイツと再会してしまった


男性にお辞儀をして、お店から飛び出す。



「おい」

「ついてこないで!」

「どうしてオマエが怒る」



怒るに決まってるでしょ。



「貧乏人には一生味わえないような贅沢。味わいたくないのか」

「……さいあく」



ほんと、さいあく。



「……そうやって、他人見下して。なんでも自分の思い通りにしてきたんだね」



だから、人の気持ちが、わかんない。


相手がされてイヤなことも、してあげて喜んでもらえることも、知らない。



わたし、赤星くんとは一生わかりあえない。



「もう、ほんと……関わらないで」

「あの店で食事がしたかったんじゃないのか」


そりゃあ……

あんなお店でデザート食べてみたいけど。



どうして赤星くんとなの。無理。



「クラハシに会う口実か」

「……え?」

「戻るぞ」

「や、やだ」



ワガママばかり言う赤星くんといると


……わたし、



「はずかしい」



赤星くんは、人として大切なものが、大きく欠けちゃってる。



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