エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
「ありがとうございます……?」
「褒めてはいないんだが。……ってそんな話がしたいんじゃない。香澄に縁談があるんだ」
「えん、だんですか?」
「ああ。香澄は大学も卒業したし二十五歳だ。母さんも香澄の年齢で嫁いできたしな」
いやいや、それは関係ないわよね。
「結婚は嫌かい?」
「いえ、そう言う訳じゃありません…覚悟はしていましたが急なので驚いてしまって」
大学卒業後、就活はせずに花嫁修行を始めたのは結婚のためだ。周りのご令嬢は、学生時代に婚約して卒業と同時に結婚する子がほとんどだ。
だけど、父曰く恋愛して好きな人と結婚させたいと思っていたみたいで大学生までは自由にさせてくれた。
だが女子大に行っていたため、出会いなんてものはあるわけない。