エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。



「ってことは、お相手も令嬢か?」

「はい、七瀬医療製品の一人娘です」

「え、大手じゃねーか」

「ええ。はい、かなり」


 彼女の父が経営している七瀬医療製品会社は、医療品メーカーの中でも大手中の大手。

 心臓血管領域が強く、カテーテルやステントは日本一と言われていて俺の勤めるさくらファミリー総合病院も取引がある。


「政略結婚ってことか」

「まあ、世間的に言えばそうですね」



 実は小鳥遊クリニックは現在、経営破綻の危機である。そんな中、七瀬社長から資金の援助する代わりに婿が欲しいと……それで選ばれたのが独り身であり恋人がいなかった俺だ。


「じゃあ、小鳥遊は婿に行くのか」

「そうなります」

「仕事は辞めるのか?」

「仕事は七瀬社長に会社の方に入って欲しいと言われてはいます」


 お見合い前、親父にそれは言われた。七瀬社長は会社に入って欲しいと。ゆくゆくは、後継者となってほしいと。


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