エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
「もしもし」
『もしもし、香澄さん。今から迎えに行きます』
「は、はい。待ってます……っ」
『はい。では、失礼します』
電話が切れると、私はワインレッドのショルダーバックにスマホと財布、ハンカチを入れて自分の部屋からでた。リビングに行くと、お父さんはテレビを見ていた。
「もう行くのか?」
「うん。もうすぐ着くって……」
「そうか」
そんな会話をしていると、インターフォンが鳴り玄関へ急いだ。
「香澄さん、おはよう」
「おはようございます、千晃さん」
「お父さんはいる? 挨拶しないと」
千晃さんは、律儀にお父さんに挨拶し二十時までには送りますと言い「では行ってきます」の言葉も添えて言った。