エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。


「あの、私に何か……?」

「うちの小鳥遊と婚約されているんですよね?」

「は、はい」

「すみません。ご存知か分かりませんが……結婚されたら、小鳥遊がここを辞めるってこと知っていますか?」


 えっ……? 千晃さんが辞めるの?


「……ごめんなさい、知りませんでした」

「そっか。無理を承知でお願いしたい。アイツをここから辞めさせないでください」


 新本さんによると、私のお父さんにお見合い後に言われたらしい。入籍前には、七瀬医療製品会社へ入社して欲しい……と。


「ごめんなさい、全然知らなくて……父に確認します」


 私は、急いで立ち上がるとお辞儀をして伝票を持った。会計をすると、病院をでて再び父のいる会社に向かった。



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