エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
それから、スマホで宿泊場所を探そうと思ったけど出来なかった。このお金は、父が働いて稼いでいるお金だ……そう思ったらホテルを探すのはやめた。お金が極力掛からないネットカフェという宿泊施設に行くことにした。
もう十七時か……行ってみよう。ドリンクを飲んでグラスを返すと、スマホで地図を見るとお店を出る。
「えっと……ここを、」
右に曲がり歩き出した時、後ろから腕を掴まれた。
「――はぁ、はぁっ……! 香澄さんっ」
「えっ……千晃さん?」
息を切らし私の腕を掴んでいたのは千晃さんだ。
「心配した。社長も心配してる。帰ろう」
「……帰らない、お父さんのとこなんて戻らないもん!」
「えぇ……」
「だから、私……今からネットカフェで過ごします!」
私は千晃さんにそう宣言すると、また歩き出す。……はずだった。